VOL.7 「ブランディング × CX」

シリーズイベントloftwork Webmaster Camp vol.7のテーマは「ブランディング × CX」。氾用されがちな「ブランディング」の定義や手法とは?ブランドの価値を高める企業が提供すべき顧客体験“CX(Customer Experience)”とは?


ブランドを体現するためのWebサイトとは?

本イベントのアドバイザリーボードであるアビームコンサルティング 本間氏、ロフトワーク 重松、シフトブレイン 鈴木氏によるトークセッションからスタート。

アビームコンサルティング 本間 充

アビームコンサルティング 本間 充

まずは本間氏が、ブランドとは「企業や商品を認識できる特徴」を指すと定義し、その上で日米における差異を紹介。アメリカにおいてブランドとは、コカ・コーラが「くびれた赤い瓶」、ペプシは「青い缶」のように「全世界の誰が見てもわかる」を必須条件に挙げているといいます。一方、日本は日本語のみを話す「単一言語市場」であることから、ロゴや色、形、質感などで自社の差異を示す理由に乏しかったと話します。

一例として、日本の企業Webサイトはロゴを隠せば競合と見分けがつかないケースを挙げ「競合に自社が“似せている”なら考え直すべき」と呼びかけました。


デザインではないブランディング

ロフトワーク クリエイティブDiv. シニアディレクター 重松 佑

ロフトワーク クリエイティブDiv. シニアディレクター 重松 佑

ロフトワークの重松は、ブランディングは大きく2つに分けると考えやすいと言います。ひとつは、“Corporate Identity”で、ロゴやデザインなどビジュアルや、タグラインのようなメッセージで自社を発信するもの。もうひとつは、“Strategy”。ターゲットに向けたコンセプト周知や顧客満足度の向上といったいわゆる「ブランド戦略」です。

本間氏の言うブランド価値が反映されていないWebサイトを作らないためにも、「デザイン」と「戦略」の間にある「設計」という考え方が重要だといいます。中でもWebサイトのブランディングに活用できるのが「Customer Experienceを軸とした設計思想」。つまりワイヤーフレームやユーザー導線といった「設計」を誰かの才能やセンスに頼るのではなく、利用者であるカスタマーの体験を元にしたファクトの解釈を取り入れ設計を行うことです。

カスタマーの体験を反映させたWebサイトとして、重松は事例を2つ挙げます。Audio-Technicaのスタジオ仕様モニターヘッドフォンを紹介するWebサイトでは、プロダクトの魅力をクライアントと共に紐解き、「音がフラット=階層構造がない」「余計なものがない=メニューがない」「原音再生=素の魅力をそのまま表現する(装飾せずに商品を見せるビジュアル)」といった解釈にたどり着きました。それが「ヘッドフォンの本来の価値」を伝えるためにWebサイトのデザインやコンテンツに反映されています。グローバルメニューを省略したり、ボタンの要素がなかったりユーザビリティを重視したサイトではありません。しかし、ブランドの魅力がWebサイトでも反映された結果、Audio-Technicaがこのヘッドフォンを通じてユーザーに届けたいプロダクトの価値が伝わるWebサイトに仕上がりました。

ベネッセアートサイト直島のリニューアルプロジェクトでは、幅広い層に愛される瀬戸内の島々の魅力が伝わるWebサイトを目指し、性別や年代の属性が異なる直島滞在者16名にデプスインタビューを実施。

16人にはそれぞれ直島で得た体験がどういうものだったか?という視点でインタビュー。重松は「デプスインタビューで重要なのはニーズを聞かず体験を聞くこと」と強調。体験を聞くとは具体的に、直島で実際にユーザーがとった行動をベースに、それを支えている感情、思考、価値観を明らかにしていく作業です。そして様々なユーザーの思考や価値観から導き出された共通項=メンタルモデルがWebサイトの「設計思想」を作る材料となっていきます。

加えて重松は「年齢、性別、家族構成などの属性情報だけでなく、どんな体験をしてなにを感じたのかという感性情報をきちんと把握して、それに共感したWebサイトの設計やデザインを作ることができる」と、体験を軸にしたデプスインタビューとメンタルモデル作成の利点を語りました。

集まったメンタルモデルを元にプロジェクトメンバーで3泊4日、計5回のワークショップを実施。グローバルメニューが多い従来型の「担当者が管理しやすいサイト」から、カスタマー体験を軸とした「共感されるサイト」へ再構築できたと言います。

併せて、現在の潮流としてWebサイトの役割が変化していることにも触れ、「情報発信」にウェイトが置かれていたところから、これからはユーザーに「共感の輪」を広げることが大切と指摘。「共有から共感」へ時代がシフトしていると語り、「Customer Experienceを軸とした設計思想」の有用性を伝えました。


クライアントを味方にするための5つの視点

シフトブレイン CHIEF DESIGN OFFICER CREATIVE DIRECTOR 鈴木 慶太朗

シフトブレイン CHIEF DESIGN OFFICER CREATIVE DIRECTOR 鈴木 慶太朗

シフトブレインの鈴木氏は、ヤフー株式会社の採用ページを事例に、昨今のWebサイト構築でブランディングが話題に挙がる理由を「プロダクトが作られる順序の変化」にあると話します。

従来はパンフレットなどをまず制作し、そのコンテンツや世界観をWebサイトに転載していました。しかし、現在はトーン&マナーやコンテンツやといった構成要件をWebサイト向けに一から作ったうえで、パンフレットへ落としこむというように立場が逆転してきているというのです。

これからのWebマスターに求められるものは、クライアントの感情を言語化し、構成要件を共に作り上げていくこと。そのために、鈴木氏はクライアントと制作チームが仲間となって「同じ方向を見るための5つの要素」として下記を挙げました。

  1. 背景:クライアントの歴史、社員、社風、服装…
  2. 目的:Webサイトの存在目的、KPI、レギュレーション…
  3. ターゲット:使ってほしいと考える想定ユーザー…
  4. 競合把握:コンテンツの方向性、自社メディアの有無…
  5. 将来:展望、今後の方向性…

この5つの観点から、クライアントの「特長・強み」や「トーン&マナーを設定するためのキーワード」を策定することが、ブランディングを意識したサイトを構築する近道になると話しました。


キーワードは「言語化」、ベースになるのは担当者の想い

ここからは3名が登壇してのディスカッションへ。

「企業においてブランディングは誰の仕事か?」というテーマについて、鈴木氏は「企業の担当者は自社ブランドを感覚的にわかっているものの言語化が難しい」とした上で、外部パートナーを組み込むことで事実情報と感覚値の両面から探っていくことを勧めます。

この考えに本間氏は共感、仕事の所在を「ブランドオーナーはあくまで会社固有だが、ブランドとプロダクトが連携するなら経営企画室、連携しなくてもよいならブランドマネージャーか事業責任者」と、ブランドが及ぶ範囲によって対応する部署も異なるとの見方を示しました。

一方で重松は、企業を包括するブランドを全サービス/プロダクトに落としこむのではなく、それぞれの部署の担当者が自分たちなりのブランド価値を考え、個別に伝えるのもひとつの道だと提案。今回のイベントを例に取れば、「主催のロフトワークに共感せずとも、Webmaster Campに共感できればよい」となるように、担当者が抱く想いを発信して、ユーザーから共感されることを重視する姿勢を見せました。

今回のディスカッションで幾度となく現れたキーワードは「言語化」でした。ブランディングは外側から定義づけられるのではなく、クライアントの感覚値をいかに抽出し、目に見える形で共有できるが鍵になるというわけです。

鈴木氏は雑誌や写真といったアイデンティティを集めたアイデアボードをつくり、「この雑誌に載ると嬉しい」といったイメージを共有し合ったこともあると振り返ります。重松は言語化したキーワードにはそれぞれに解釈が生まれるため、「クライアント、デザイナー、ディレクターが共通感覚を持ち、チーム間での共有を」と呼びかけました。

また、本間氏は「今までのイメージを脱却したい」という常套句は、それまで構築してきたブランドを安易に壊すことにもつながりかねないため、この場合も「なぜ脱却したいか」をしっかりと言語化できるレベルまで議論することが大切と述べました。


ブランディングのためには、ネガポジ両面の着想を

その後、ロフトワークの柳川をファシリテーターにワークショップを実施。ディスカッションでも重視された言語化を体感すべく、テーマは「“街”をさまざまな切り口から言語化することで、ブランドを言語化する切り口を学ぶ」です。

参加者は渋谷、浅草、お台場、丸の内から好きな街をひとつ選び、グループに分けて自己紹介をした後、個人ワークからスタート。「選んだ街での体験やイメージを自由に言語化」して付箋に書いてからグループで共有します。その後は、ファシリテーターから出されるテーマ(切り口)に対して答えを共有する、一種の“大喜利”を通じて街のイメージを積み重ねていきました。

お題は、人々の服装や街の歴史といった事実に基づく観点だけでなく、色や食べ物などに例えて想像を膨らませるものも。参加者は着想した切り口を共有し合い、貼られていく付箋によって「新しいその街の姿」を可視化していったのです。

今回のようにグループで切り口を変えながら対象を見つめるワークは、設計の組み上げにも似ています。まずは個人の体験や感情から「事実」をあぶり出し、共通項や特異点から解釈がしやすい状況を作ります。また、色や食べ物、動物、温度といった項目に例えて「感性の情報」を組み合わせることで、デザインやビジュアルにも落とし込みやすくなり、ブランディングの柱となる方向性が見えやすくなるのでしょう。「多方向・多面的」なアイデアの発散こそが、今回のワークにおける重要なポイントだったといえそうです。

重松は発散したアイデアの活かし方として「収束させる方法」を話し、ラベリング(KJ法)、文章化(コピーライティング/ストーリーテリング)、絵コンテ(イメージボード)などがあると紹介。収束させた結果を元にデザイナーとセッションするのもビジュアルやレイアウトを考える上で有用だと言います。

最後に、本間氏は企業内でブランディングを考える時のアプローチについて言及。アメリカでBtoBカンパニーとして事業を進めていた東芝が自らのブランド価値を考えた際に、「ジャパンクオリティのサポート企業である」と行き当たり、不足していた案内板や歓迎の言葉といった「サポートの要素」をオフィスや駐車場のいたるところに配置し、そのひとつずつから“ジャパンクオリティ”を伝えていった事例を取り上げました

自社についてネガティブなキーワードは出しづらい面があることは理解を示した上で、「ネガとポジをどちらを出しても良い。ギャップがあれば直せばいい。社員で楽しみながら考えてみてほしい」とエールを贈りました。


レポート 長谷川賢人:

編集者、ライター。1986年生まれ。日本大学芸術学部文芸学科卒。リゾーム的な働き方に自分の未来を見つめてそわそわしています。最近はPodcastに熱中しています。

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vol.6「Webマスターのやらないことリスト」

ロフトワークを代表するシリーズイベントとしてすっかり定着したLoftwork Webmaster Campの第6回は、多様な業務に追われるWebマスターが、本来のミッションに集中する環境を整えるにはどうすればよいかを考えました。「やらないことリストを作る」ワークショップを通して、その糸口が見えてきたようです。


ミッションから考える、やるべきこと、やらないこと

今回は、本イベントのアドバイザリーボードを務める本間氏と、ゲストの増井氏、清水氏三人のセッションでスタート。それぞれのWebマスター時代を振り返りつつ、テーマについて持論を展開しました。

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アビームコンサルティング株式会社の本間充氏は、「社長は事業について一生懸命考える人。Webで何ができるのかはみなさんが声に出して言わない限り、会社は気づいてはくれない」として、こう問いかけます。

「Webマスターは“よろずや”になりがち。コンピューターに詳しそう、あの人に言えばやってくれそうといったように、何かと重宝されてしまう。一日そうした業務に明け暮れて、あなたにしか考えられないこと、将来について考えるべきことがおろそかになっていませんか?」と。

ここで、敢えて先に「やらないこと」を洗い出すことを提案する本間氏は、「そうすれば自ずとやるべきことが見えてくる」と説明。自身の考える「やるべきこと」「やらないこと」を紹介しつつ、切り分けの軸となる考え方にも言及しました。

やるべきこと、やらないことの考え方

  • あなた以外の人が行えることはあなた以外に任せる
  • 事業に貢献しない品質の追求はやめる

 

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続いて、合同会社フォースの増井達巳氏は、「やるべきことも、やらないことも、価値前提ありき」だとして、「Webマスターには、Web制作の基本を理解した上で、企業のコアコンピタンスを活かしつつプロセスをコントロールし、ビジネスをデザインすることが求められている。その際、どういう価値を提供したいのか、あるいは提供しろと言われているのかを明確にしない限り、やることもやらないことも見えてはこない。価値前提がないか曖昧なら、自分たちで作る必要がある」と強調。

あるべき姿:ミッションを考える

  • Web担当者としてやるべきことは?

現在の課題:ミッションとのコンフリクトを考える

  • Web担当者としてやるべきなのにできていないことは?
  • Web担当者としてやるべきではないのにやっていることは?

重要なのは、ミッション(あるべき姿)とのコンフリクトを考えること。すなわち、Webマスターとしてやるべきなのにできていないこと、やるべきでないのにやっていることは何かを考えること。特に、「今やっていることでやらないことを作っていかない限り、向かうべき方向性に集中できる環境を整えることはできない」と語りました。

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一方、電通アイソバー株式会社の清水誠氏は、やるべきこととやらないことを明確に切り分ける上では、自らの活動の「組織への浸透」が鍵を握るとして、楽天時代に立ち上げたというアクセス解析最適化推進チームを例にヒントを提供。チーム名にこだわったのも、専門性を高め、信頼を得るためだったと清水氏。

また、「チームのミッションに関係ないことはやらないと決めた」と語る清水氏は、「一番大事なのは、確実に横展開でき、長期的に成果につながること。限られた時間をいかにうまく使うか」だと語り、そのポイントを解説しました。

業務にフォーカスして成果を出すためのポイント

  • チームのゴールを明確にしよう
    • ゴールを共有できるように文書化が必要。チーム名もその一つ
  • ゴール達成に必要なタスクを図解で整理&共有しよう
    • 特に図解すると効果的。
  • 上記をチーム内外で徹底しよう
    • 何ができて何をしようとしている人たちなのかを明確にブランディングする

最後に清水氏は、自らが提唱するコンセプトダイアグラムの作成を推奨。全体を俯瞰して自分を客観視し、逆算でアクションを導き出せるとして、その描き方を解説しました。


やらないことリストを作る

ワークショップでは、ゲストセッションでインプットされた情報を参考に、「やらないことリスト」の作成に取り組みました。ワークは個人ワークとグループワークの二部構成。

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第一部では、ワークシート上で自分の一週間のスケジュールを振り返ることで、どんな業務にどれだけの時間を費やしているのかが浮き彫りに。それぞれに気づきを得たところで、ひとまず「やらなくてもよさそうなこと」を個人レベルで洗い出していきました。

続く第二部では、業務範囲の類似する者同士が4~5名でチームを編成。「やらないことリスト5箇条」の作成に向け、まずは個人ワークの成果を共有し議論を深めていきました

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各チームとも実際に取り組み始めてみると、意外にも「やらないこと」のリストアップが難しかった様子。また、議論の段階で、「自分の業務範囲から外すには、越えなければいけない山が高い」と言う声も。つまり、マニュアル化や教育がネックとなり、なかなか前に進めないという意見です。

これに対し、「山になる前に毎日少しずつ崩していきましょう」と清水氏。また、増井氏も「私の場合、どうやったら人に振れるか?を考えた結果、事前にエスカレーション先リストを作っていた。私より詳しいからそっちに聞いて!と他人にも振り先を教えてあげられる。これを作る手間を省いてずっと受け続けるか、ラクになるか(笑)」とアドバイス。

こうして議論を重ねた結果、最終的に絞り込まれた「やらないことリスト5箇条」が各チームより発表されました。中には5つ出し切れずに断念したチームもあったようです。

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チーム1

  1. バナーやLPなどの制作系業務
  2. 単純な資料作成やレポーティング業務
  3. コミュニケーションロスの原因となる業務
  4. その他雑務

清水氏「解析することやレポートを作ること自体が目的ではないので、単純作業を自動化するのは賛成」

 

チーム2

  1. 大人数の打ち合わせへの出席
  2. マニュアル化できる業務
  3. 他人や他部門に振れる業務
  4. 指定した時間以外の相談業務
  5. お客様のためにならないこと

 

増井氏「何かを極めるようなことはやらなくて正解。仙人並みのその人しかわからないオペレーションを探すのではなく、誰もが代われるようなオペレーションを作ることのほうが重要」

 

チーム3

  1. そもそも理解のない上層部への説得(説得ではなく洗脳へ)
  2. 単純作業
  3. 属PC業務
  4. Webの責任を引き取ること

 

増井氏「サイトのオーナーシップをきちんと整理することは大事。サイト全体は社長の持ち物であり、事業部サイトは事業部のもの。自分ごと化が進まないといずれ大事故につながる。不必要な責任は敢えて負わないほうがいい」

 

チーム4

  1. 目的が曖昧な会議への出席
  2. ソーシャルメディアに関わるネタ集め
  3. 単純なチェック作業
  4. 定型的な報告資料の作成
  5. 惰性でやっているメールマガジン


清水氏「目的、効率、成果、貢献度を無視したこと、つまり惰性でやっていることは、データを活用して見える化すると優先順位がつけやすい」

 

チーム5

  1. 目的が曖昧な仕事
  2. Webのことがわからない上司への成果についての説明


増井氏「Webは企業全体の情報が載っている唯一のメディアなのに、コミットメントしていない状態で、なんとなくこれがWebの価値だとか、いいWebってこんな感じとか、曖昧になっていることが多い。やはり価値前提を共有することが大事」

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ワークショップ終了後は、Twitter Japan株式会社の森田謙太郎氏が、10周年を迎えたTwitterのビジネス活用について紹介。簡単なワークショップも行われ、参加者たちは効果の上がるTwitter広告のお作法を学びつつ、80文字で自社をアピールする「ツイートコンテスト」にも挑みました。

最後にクロージングトークに立った本間氏は、「みなさんがハッピーにならないと日本のWeb業界は盛り上がらない」として、「やりたいことがあるのなら、社内でぜひ声に出してみてほしい」とエールを贈りました。

vol.5 「2016 ADVISORY BOARD OPEN SESSION」

Webに携わるすべての人がアイデアや学びを共有できる、コミュニティとサロン型イベント「Loftwork Webmaster Camp(WMC)」。これまで「Webのトレンド」「Webマスターの哲学」「組織・チームの課題」「Webと顧客体験」など、様々なテーマに触れてきました。

取り組みを始めて2年目。この春からは、新たなアドバイザリーボードメンバーを迎え、アイディアや学びを共有するだけでなく、インストールして実験・実行するためのオープンなプラットフォームにバージョンアップしていきます。


キックオフとして開催したのが、アドバイザリーボードメンバーとゲストで2016年度のWMCの方向性を決める企画会議をオープンにしたイベント「WMC Advisory Board Open Session」。

アドバイザリーボードメンバーとゲストは、全5名。
デジタルマーケティング、UI/UXデザイン、コンテンツ運用等、さまざまな領域のプロフェッショナルが集いました。

  • アビームコンサルティング 本間充氏
  • シフトブレイン 鈴木慶太朗氏
  • NEC / Web広告研究会 代表幹事 田中滋子氏
  • 芝浦工業大学 羽田朋弘氏
  • ロフトワーク 原亮介

2016年Webマスターが取組むべきことは何か? そのために、WMCでどんなアクティビティをすべきか?
企画会議は、ボードメンバーとゲストを聴講者が円形に囲むという、ちょっと珍しい会場レイアウトでスタートしました。

開催にむけて、ボードメンバーに事前アンケートを実施。

“Q1 - この1年で実感しているWebを取り巻く環境の変化はなんですか?”
“Q2 - この1年で持ったWebに対する課題はなんですか?”
“Q3 - 2016年、Webで大事だと思うキーワードはなんですか?”
“Q4 - その中から一つ課題提起するならどんなものがありますか?”

回答を整理すると、主に6つのトピックが見えてきました。

ビジネス貢献

ビジネス貢献

ブランディング

ブランディング

ユーザーの行動と心理

ユーザーの行動と心理

事業への組み込み

事業への組み込み

衰退するムーブメント

衰退するムーブメント

組織と体制

組織と体制

 そして当日、会場の壁一面に描かれた多くのキーワードをもとにディスカッションがスタート。


コンテンツ×ブランディング×UX

PCからスマートフォンへ。Web閲覧の環境はぐんと変わってきました。ユーザーの行動やコンテンツの捉え方が変化するなかで、コンテンツの内容やクリエイティブのつくり方も合わせて対応していくこと。ユーザー理解を深めること。そのためにはデザインリサーチを行い顧客体験を設計するなど、制作の上流過程から関わる必要があります。

「Webコンテンツは『ニュース』ではなく『ブランド価値のあるもの』を出すのが本意。LEXUSがロイヤルユーザー向けに印刷・公開しているマガジン『BEYOND』やNewBalanceの『GMS』は、ユーザーニーズとビジネス施策のマッチングを、戦略として事業にうまく組み込んでいる良例」と話す鈴木氏。

シフトブレイン 鈴木氏

シフトブレイン 鈴木氏

アビームコンサルティング 本間氏

アビームコンサルティング 本間氏

「キャンペーン的な一過性のものではなく、文脈をつくりサステナブルな取り組みをしていく必要がでてくる。しかし、そうなると運用負荷も高まる。すべてWebマスターがやるのではなく、コンテンツは編集者が、クリエイティブはクリエイターが、などプロに任せ、Webマスターは割り切った活動をすべき」と本間氏は話し、メーカーと各専門家の関わり方を変えていかなければと提言しました。

ロフトワーク 原

ロフトワーク 原

ブランディングの観点から世界観を強く打ち出しているコンテンツに対して、原は「緻密に作りこまれた写真や記事の良さがある一方で、『無編集』ゆえの面白さもある。ユーザーによって閲覧デバイスが多様ななかで、既存環境に依存した『PCでみないと伝わらないブランド感』をどう調理していくかが今後のWeb運営の鍵」と課題提起しました。


どこまで求める? Web担当者のリベラルアーツ

「本当にやるべきことのために、やらないことを明確にする」。


Webを取り巻く環境の変化によりWebマスターに求められることはどんどん拡張しています。しかしWeb制作の現場では、関係者や細かなワークが複雑に絡み合い、「誰が何をやるのか」についての議論は往々にして起こるもの。ユーザーに求められていることを実現するために、やらないことを明確にすることが指針に立てられました。

企画会議の最後には、「WMCのビジョンは、『Web担当者同士が助け合うこと』。これからのWMCは今日上がったテーマごとにワーキンググループをつくって個別に走っていく可能性もある。ぜひ他のWeb担当者仲間にも伝えていってほしい。社内でより認知度が高まり、他部署とかかわり戦略的なデジタルマーケティングを行うWebマスターを増やしたい」と本間氏が締めくくりました。

vol.4 「WEBと顧客体験」

最高の顧客体験を生み出すには?5人のエキスパートに聞く、戦略とデザイン

デジタルマーケティングやWebデザインの本質的なテーマについてゲストスピーカーを招き、参加者と一緒に考えていくloftwork Webmaster Camp。2016年最初となる今回のテーマは「Webと顧客体験」です。

ファーストセッションでは、株式会社資生堂 コーポレートコミュニケーション本部の木村桃子氏とコクヨ株式会社 ファニチャー事業部の城間健市郎氏が登壇。それぞれの自社サイトの目的と役割から、ユーザー像の捉え方、実践している戦略と戦術についてお話しいただきました。

セカンドセッションは、企業とユーザーをつなぐWebの「顔」とも言えるインターフェースデザインに注目。株式会社グッドパッチの村越悟氏とFULLER株式会社のキム・ヨンビン氏、そしてロフトワークプロデューサー濱田真一の3名と、デザインを通じた顧客体験について考えました。 


いい顧客体験を生み出すためのオウンドメディア戦略の秘訣とは?

最初に登壇したのは、資生堂グループ全体の事業情報から採用情報、企業広告に至るまで幅広く資生堂のWeb展開を担当する木村桃子氏。資生堂の考えるオウンドメディア戦略についてお話しいただきました。

株式会社資生堂 コーポレートコミュニケーション本部 コミュニケーショングループ 木村桃子氏

株式会社資生堂 コーポレートコミュニケーション本部 コミュニケーショングループ 木村桃子氏

「資生堂は、自社の強みを活かした生活者にとって共感する/役立つコンテンツを発信し、オウンドメディア上での接点を生んでいます。より多くの生活者にコンテンツに触れてもらうことでデジタル上でのコミュニケーション総量を最大化。資生堂に対するロイヤリティの向上に繋がることを期待しています」

氏の担当する「企業情報サイト」には明確な目的を持ってきているユーザーが多いため、まずはユーザーの求める情報を早く正確に伝えることを重視し、その上で、自分たちが伝えたい情報を届ける工夫をしています。

木村氏の考える企業情報サイトの役割は、大きく2つ。

1. 情報を求めている人に迅速に伝えること
2. 次に、こちらが伝えたいことを伝えること

もともと資生堂に対する信頼度が高い顧客にとっては、自分が知らなかった情報を得られることが「いい体験」であり、一般的な顧客にとっては、自分がほしい情報がすぐに手に入ったときが「いい体験」であると捉え、設計しているようです。

関連リンク
資生堂グループ企業情報サイト
 


続いて登壇したのはコクヨの城間健市郎氏。コクヨの教育事業部は「能動的な学習環境の構築」をテーマに、幼稚園、小学校から大学まで、すべてのカテゴリーに対して学習空間の提供をしています。学校・教育関係者という特徴的なターゲットと向き合い、どのようにWebサイトのリニューアル・運営に取り組んでいるかご紹介いただきました。

コクヨ株式会社 ファニチャー事業部 提案マーケティング部 城間健市郎氏

コクヨ株式会社 ファニチャー事業部 提案マーケティング部 城間健市郎氏

今回取り上げたのは教育事業サイトのリニューアルプロジェクトの事例。リニューアルに関わったのは、教育事業部のメンバーと、城間氏、そして、ロフトワークの三者です。城間氏は、ユーザー目線でWebサイトをつくっていきたいと考える教育事業部のメンバーとWeb制作のプロであるロフトワークの間に入り、Webマスター業務だけでなくそれぞれの考えの翻訳をするという立場で入りました。三者連携体制こそがプロジェクト成功の秘訣だった、と城間氏は振り返ります。

「特に大切だなと思ったのは、制作の手前で行ったワークショップです。顧客体験、ターゲットをどのようなものにするか、という議論を教育事業部のマーケティングメンバーだけでなく、部長や営業部、設計のメンバーにも入ってもらい、時間をかけて、最適解を見つけていきました。特に、事業部長にも参加してもらえたことがよかったと思います」

上長が最初の段階からプロジェクトに加わることで、事業部全体を見ている上の視点のアウトプットを入れられるという点に加え、その後の稟議や決裁がしやすくなるという利点もあり、とてもスムーズにプロジェクトが進んだといいます。

関連リンク
教育施設向け空間提案 | コクヨ
コクヨ株式会社 教育機関向け製品サイトリニューアル | 実績・事例 | 株式会社ロフトワーク
 


顧客体験におけるUIデザインの重要性

セカンドセッションの最初に登壇したのはグッドパッチ取締役の村越悟氏。グッドパッチは、「デザインの力を証明する」というミッションでパートナーのデザイン世界を日々前進させています。プレゼンテーションのテーマは、「よりよいプロダクトづくりのためのデザインプロセス」。プレゼンの中では、「顧客体験におけるUIデザインとは?」と「顧客体験をデザインする上で必要な要素とは何か?」という二つの問いを立ててお話しいただきました。

株式会社グッドパッチ デザインDiv. 取締役 ゼネラルマネージャー 村越悟氏

株式会社グッドパッチ デザインDiv. 取締役 ゼネラルマネージャー 村越悟氏

まずは、「顧客体験におけるUIデザインとは?」。クライアントからの「UIを変えたい」という相談に対して単純にUIのみを改善しても結果として本質的な課題解決にはならないことが多い、と村越氏は言います。実際、UIの裏側にあるオペレーションやサービスの設計に課題が潜んでいることが多く、一般にUIといっても、サービスとユーザーインターフェースの両輪で考える必要があるというわけです。

「UIを考える中で必ず立てる問いは、『エンドユーザーもサービス提供側もちゃんと見合ったサービスを提供できるのか』という問いです。その両輪を捉えた上で、最適解を掲示していくことを重視しています」

一方「顧客体験をデザインする上で必要な要素とは?」という問いに対しては、4つの条件とその関係性を提示しました。まずは「メンバーのコミュニケーション量が多いこと」。「メンバーの熱量」が上がると「お互いの信頼関係」が築け、結果として「プロダクトやプロジェクトの品質が上がっていく」。4つの要素が互いに作用し循環することでいい顧客体験をつくることができる、と結論づけました。


セカンドセッション2人目の登壇者はFULLER株式会社のキム・ヨンビン氏です。もともとデザイン専攻ではなく、日本語教師になろうと思っていたキム氏ですが、現在は日本デザイン学会やred dot awardの賞を受賞し、デザイナーとして活躍しています。自身のバックグラウンドを振り返りながら「非デザイン専攻者のデザインプロセス」を解説いただきました。

FULLER株式会社 デザイナー キム・ヨンビン氏

FULLER株式会社 デザイナー キム・ヨンビン氏

 キム氏が重要視したのは、表面的な「デザイン」ではなく、「デザイン」の背景にある「マインドセット」や「デザイン思考」。ブランドデザイン、プロセスデザイン、レイアウトデザイン、デザインにおけるシンプルさと複雑さの関係についてなど、いくつかの観点から事例を挙げて解説しました。

セッションの最後には、優れたデザイナーの思考や行動について6つの原則を共有しました。

1. デザインをしようとするより問題を解決しようとする。
2. 図より考えが先ということを意識している。
3. 常に完璧にすることはできないことをよく知っている。
4. ディテールにこだわる。
5. 自分の製品を他人に販売(広報)することができる。
6. トレンドをあきらめることができる。


株式会社ロフトワーク マーケティングDiv. プロデューサー 濱田真一

株式会社ロフトワーク マーケティングDiv. プロデューサー 濱田真一

最後に、ロフトワークのプロデューサー濱田真一が「モバイルサイトのローカルナビゲーション」をテーマに登壇。WebサイトのUIを語る上で重要な要素のひとつとしてグローバルナビゲーションがありますが、「もっとローカルナビゲーションに注意を払う必要がある」と濱田は問題提起します。ローカルナビゲーションはグローバルナビゲーションと同様に目次としての役割も果たす一方で、ユーザーの目的達成に対してより直接的な役割を果たすことが多い、と濱田は指摘。「サイトのシングルカラム化やモバイル端末からのアクセス増加により、ローカルナビゲーションのUI設計も多様化している」と分析しました。

濱田は、PCとモバイルで配置を変える事例や、モバイルサイトで多く見られる表示のバリエーションを紹介。目的や機能に応じて大きく変わるサブナビゲーション設計の重要性を強調し、ディレクターなど専門家とともにデザインすることを提案して締めくくりました。

会場には、この1年間アドバイザーとしてイベントに携わっていただいた本間充氏の姿も。参加者にエールを投げかけるとともに、「2016年もネットワークや情報交換の機会としてこの場を活用していけたら」とコメントを頂きました。ネットワーキングでは、参加者同士の交流が盛んに行われる中、有志によるライトニングトークも実施。日々の業務を通じて得られた気付きをアウトプットする機会となりました。

今後もloftwork Webmaster Campでは、Webに携わる方々が日頃課題に感じるトピックをさまざまな切り口から一緒に考えていけるイベントを開催していく予定です。今後の展開にもぜひご期待ください。

関連リンク
loftwork Webmaster Camp
loftwork Webmaster Camp Facebookグループ

vol.3 「WEBマスターが本気で組織・チームの課題に挑む2DAYS」

今年からスタートした「Webmaster Camp」の第3回は、チームビルディングをテーマに、2日間にわたる初の合宿型プログラムを実施。大半をワークに費やした今回は、Webの世界を飛び出してワクワクする未来を描く一方で、夢の実現を阻む厳しい現実とも向き合いました。


ロフトワーク マーケティング 渡部 晋也

ロフトワーク マーケティング 渡部 晋也

オープニングでロフトワークの渡部は「回を重ねるごとに見えてきた課題の中から、特に多かった組織やチームの課題に本気で取り組むことにした」と説明。さらに「Webをめぐる状況がどんどん変化する中で、Webに携わる方に求められるのは、5年後、10年後を描いて、その実現に向けてどんなチームで仕事をしていけばいいのか、自分が何をすべきかを明確に判断できるスキル。完全に会社を離れて新しいことをとことん考え抜く2日間です。また、同じバックグラウンドや職能をもった他社の人たちと、お互いのナレッジを交換し合って新しい気づきを得ることも目指しています」とオープニングを終えました。


Ice Break & Talk Session

“チームにはやりたいことを熱く語れるパッションのある人が必要”

ワークショップに先立ち、まずはアイスブレイクを実施。今回の参加者は、上司と部下、同じチーム内で仕事の領域が異なる二人、同じ会社で面識のない二人など、全員がペアで参加していることから、二人の共通点を見つけてチーム名を付けるという簡単なアクティビティが行われました。

参加者の不安や緊張がほぐれたところで、花王株式会社の本間充氏を招いてのトークセッションがスタート。本イベントのアドバイザリーボードも務める本間氏が、これからのWebマスター像や、組織を超えたプロジェクトづくりなどについて語りました。その一部をご紹介します。


これからのWebプロジェクトとは?

本間:たとえば、ビールにはそれぞれ飲みごろの温度がある。温度管理をお客様に望むなら、本当は冷蔵庫ごと売りたいよね?あるいはビールサーバーを売りたいよね?そう考えると、ビールサーバーをインターネットにつなげられそうな気もしてくる。みなさんは、こういう観点で議論したことがある?こういう話ができる?

花王 本間 充氏

花王 本間 充氏

なぜこんな話をするかというと、Webマスターは、組織内で一番インターネットに詳しい人たちだから。Webを使った事業で成功し、見たこともない競合が出てくる時代。ここにいる人たちはWebの裏側の仕組みを知っている人たちであり、やりたいことに踏み出せるスキルを持っている。インターネットのパワーを使った新しい事業について話をすべき時期に来ていると思う。

一方で、Webサイトの役割も変わりつつある。まとめサイトの情報しか見ない人もいるし、Amazonで商品情報を見た人はメーカーサイトを訪れる必要がない。つまり、我々が発信する情報がどこで接触されるのかをきちんと考えていかないと、知らないうちに使われなくなっていた、ということにもなりかねない。


組織を超えたベストチームの作り方

本間:どの仕事でも中の人と外の人がコワーキングしなくてはならない。満足のいかないデザインが出てきたとき、一方的に制作会社のせいにするのは間違っている。私なら、そもそもオリエンをしたのか?こちらのメンバーはきちんと人選したのか?と聞くだろう。松井秀樹がいるからいいピッチャーを用意するように、同じ土俵に乗るために、相手はこちらの顔ぶれを見てメンバーを人選するはず。パートナーシップとは鏡の関係だ。

チームを作ったら、しばらくはメンバーの自主性に任せ、仕様書が出てくるあたりで、一回大きな“ちゃぶ台返し”をする。本当にそうなのか?僕が言ったとおりにやっただけじゃないのか?と問いかけ、その高いハードルに対してチームが機能するようになっていれば、あとは自主性に任せるというやり方。

プロジェクトに必要な人材

本間:コミュニケーションプランナーが必要。テクノロジーの話は二の次。オールマイティなプレゼン上手も要らない。むしろ、新しいことをどれだけやりたいかを熱く語れるほうが重要。自分にしか思いつかないユニークなエリアを持つ人は、会社にそれを言う責務がある。そういうパッションを持つ人を探して引き上げ、支えてあげればいい。幸い、Webマスターは社内の誰とでも会える立場にある。


Workshop Day1

“5年後の会社・組織の未来像を考える”

ワークショップのテーマは、「組織、チームを超えてベストチームを作る」。ファシリテーターを務めたロフトワークの柳川雄飛は、「Webへの期待が高まる中で、これからのWebプロジェクトは、さまざまな人を巻き込んで組織横断的に進める必要がある。ワークを通じて、そのヒントをつかんでもらえれば」と挨拶。

ロフトワーク プロデューサー 柳川 雄飛

ロフトワーク プロデューサー 柳川 雄飛

1日目は、ペアで参加した二人を1チームとし、相互理解と未来像の共有を目的としたワークが行われました。主な流れは次のとおりです。


STEP1 相互理解を深める

チーム内で、自分の仕事とその魅力、やりたいことなどを共有。さらに、会社が今の部署に求めていること、部署から自分が求められていることを考え、共有しました。


STEP2 未来像を共有する

5年後の会社・組織におけるチームの理想像をイメージ。個人で考えたことをチーム内で共有しながら、「わたしたちの会社は○○をしており、わたしたちのチームは○○を役割としたチームになっている」という一文にまとめました。

各チームが考えた5年後の未来像は、ミニプレゼンで参加者全員と共有。他チームの厳しい突っ込みや、午後からアドバイザリーボードとして参加した元良品計画の奥谷孝司氏のアドバイスに気づきを得て、もっとワクワクする未来像へとブラッシュアップしていきました。

元良品計画 奥谷 孝司氏

元良品計画 奥谷 孝司氏


Workshop Day2

“未来像の実現へ、確かな一歩を踏み出すために考える”

異業種の人たちが集うこの機会に、多様な意見に触れながら、Day1の成果をより有意義なものに磨きあげてほしい。そんな思いから、運営スタッフが夜を徹して軌道修正したプログラムでDay2のワークがスタート。

改めて5年後の未来像と向き合うことから始めた各チーム。一夜明け、各自が新たに思いついたアイデアを盛り込むとともに、他チームとも意見交換しながらブラッシュアップを重ねていき、「私たちは5年後、○○(ターゲット)に○○な体験を提供しています」という一文にまとめたところで、中間発表が行われました。

ここからは、いよいよ収束のフェーズです。アドバイザリーボードにキリン株式会社の上代晃久氏も加わり、各チームとも5年後の未来像を具体的なアクションプランへと落とし込んでいきました。

キリン 上代 晃久氏

キリン 上代 晃久氏


STEP1 アクションプランを考える

5年後の未来像を実現するためのアクションプランを発散。一人20個ずつ考えたアクションプランをグルーピングしてカテゴライズし、優先度の高い5つの施策に絞り込みました。


STEP2 アクションプランをブレイクダウンする

5つの施策について、3年後、1年後、3ヵ月後のそれぞれのタイミングでどんなことを実現していればいいかを逆算方式で具体化。


STEP3 アクションを妨げる障害を考える

各チームでアクションプランの実行を妨げる障害要因を考え、課題を発表。ワクワクするような未来から、いきなり厳しい現実に引き戻され、一様に苦しい表情の参加者たちは、アドバイザリーボードとともに解決策について真剣に議論しました。

課題解決に向けたアドバイスの一部を紹介します。

課題)仲間の不在・組織風土の壁
本間:飲み会の冒頭5分で話せる内容にすること。社内の人に説明する前に、社外の人に相談するのも一つ。自分の説明のどこがわかりにくいかを聞いて直す。そんなことやってもしょうがないと言われたら、アイデア自体をもう一度見直す。

課題)上層部の説得
上代:いかに志として語れるか。飲み会の席のような熱い議論ができるか。3回ぐらいダメ出しされてからが本番と思うこと。あとは、上司から怒られても社長から怒られなければいいや、という覚悟を決める。
本間:相手が承認しやすいプレゼンを準備する。事前に承認条件をそれとなく聞いておくのも方法。一方で、まずはチームビルドをきちんとすべき。メンバー間で意見の矛盾がなく、いかなる質疑応答にも答えられるようにしてから上層部に相談する。一回ぐらい蹴られてもリベンジをかけるぐらいのチームにすること。

課題)競合による後追い
上代:一社でやると後追いされやすいが、他のパートナーを巻き込むと真似しにくい。

課題)5年という時間的制約
本間:お金と時間には必ずリミットがある。一定期間内に完了できないタスクを明確にし、残タスク表を作ること。できなかったことは次の計画に盛り込んで、忘れずにやればいい。
上代:たとえば、3年計画でひっくり返らない計画を見たことがない。3年計画です!と宣言した上で1年後、2年後のミニゴールを作っておき、1年後も成功しています!と言いきってしまうことが重要。

課題)行政への働きかけ
上代:若い人たちの中にはやる気のある人、情熱のある人たちも多い。その人たちを巻き込んで、まずは勉強会から始めてみる。
本間:プロジェクトの人事相関マップを作ることをお勧めする。リーダーが役不足と判断されたときの代役候補も立てておく。


STEP4 障害の解決策を考える

アドバイスをヒントに障害を乗り越える方法をチーム内で考え、解決策を発表したところで、すべてのワークが終了。

本間氏は全体を振り返り、「今回はWebの話はほとんどしていない。誰でもWebコンテンツの発信ができる時代に、その先をいかないといけない。まったく違うWebの活用方法を生み出せれば、みなさんも輝ける。まずはここでの体験を社内の誰かに伝え、コミットすること。そこから少しずつ時間を作り、周りを巻きこんでいきながら、進めていってほしい」と総括。

また、参加者アンケートでは、「今後に活かせそうか?」との問いに全員がYesと回答。「目の前に仕事に追われ、わくわくする気持ちを忘れていた」「異業種の方との意見交換によって、違う視点や考え方を発見できた」「現在のサービスに落とし込めるヒントがもらえた」「課題解決に向けた具体的な行動のきっかけがつかめた」など、気づきと学びにあふれた2日間を振り返っていました。

vol.2 「WEBマスターの哲学」

Webに携わるすべての人がアイデアや学びを共有できるサロン型イベント「Webmaster Camp」。第2回は、第1回のテーマ「2015年のWebトレンド」から趣向を変え、哲学的観点からWebマスターの働き方、仕事の楽しみ方を模索。個性的なスピーカー陣と共に、答えがありそうでなさそうなこのテーマと真剣に向き合いました。

カジュアルな場所でリラックスしながら、ざっくばらんに仕事の悩みを話し合える場を作ろうと始まったこの企画。オープニングでロフトワークの渡部晋也は、「前回のセッションで、チームづくりがいい仕事のカギを握るという話があった。Webマスターは一人で仕事をしがちで、誰かと手を組むことがなかなかできていない。本日のスピーカー陣から、仕事に臨むときの姿勢や考え方を学びたい」と挨拶しました。


イベント企画者のロフトワーク マーケティング 渡部 晋也

イベント企画者のロフトワーク マーケティング 渡部 晋也


Session1 マインドセット “自分はどうありたい?自分にしかできないことは?

3つのテーマでくくられた今回のセッション。1つ目のテーマ「マインドセット」について語ったのは、清水誠氏と株式会社ブルームコンセントの小山龍介氏のお二人です。はじめに清水氏が、「大事なことはデジタルキッズから学んだ」として、我が子の15年の歩みを紹介。

清水誠氏

清水誠氏

3歳でケータイメール、6歳で3Dネトゲデビュー、10歳でWikiサイト更新、中1で新言語Scalaの最年少コミッターと、次々飛び出すエピソードに会場が目を丸くする中、「我が子が天才なのではない。子どもは誰でもスゴイ。親は“どうせ子どもだから”と見ていないだけ」と一言。

子どもに学ぶべき点

・変化に気づき、本質を見抜く
・失敗を恐れず挑戦する
・しつこく繰り返し、引き際は鮮やか
・先入観や習慣に囚われない

さらに、「子育てとマネジメントは同じだと気づいた」と清水氏。Webマスターに必要なマネジメントのポイントをまとめました。

・期待や常識を押しつけない
・自分で考え、行動できるように見守る
・軽く背中を押し、足を引っ張らない
・環境を作る
・変化や可能性に気づく

「諦めずに、いかに進み続けさせるか。べき論や一般論は関係ない。自分はどうありたいか?を明確にすることが大事。哲学というよりも美学」と清水氏はまとめました。

続いて小山氏が登壇。哲学科出身者らしく、『仕事の哲学』の著者ピーター・F・ドラッカーの言葉を引用しつつ、Webマスターの存在論に迫りました。

ブルームコンセプト 代表取締役 共同経営責任者 小山 龍介氏

ブルームコンセプト 代表取締役 共同経営責任者 小山 龍介氏

●行うべきことを行う
 一人ひとり存在意義は違う。自分にしかできないことをやる。
●優先すべきことを決める
 自分のやりたいこととは別に、会社の中で求められていることを考え優先する。
●自らの強みを活かす
 とはいえ最終的には自分の強みを活かすことが大事。
●何にもっとも貢献できるかを考える
 どこで貢献できるかを知っておくと、「企業の居場所・私の居場所」ができる。Webマスターは企業の居場所を創り出す人。

「自分が会社に、会社が社会に何を与えられるのか?を考える。与えれば、(居場所が)与えられる」と小山氏。最後に内村鑑三の言葉「後世に残せる最大の遺物は、勇ましい高尚なる生涯」を紹介。これは、ドラッカーの「才能がなくてもいい」につながるとして、「勇ましい高尚なるWebマスターへ!」とエールを送りました。


Session2 チーム “ホントにその仕事・そのプロセスは必要ですか?

「“個”がスキルアップし、全員が成長することでチームが強くなる。業務を割り当てるときは、自分の仕事が会社の業績にどうつながるかをイメージできるようにする」と語るのは、株式会社リコーの伊藤恵美子氏。6名のチームリーダーとして、働き方、評価プロセスの2つの観点から、メンバーの育成ノウハウを紹介しました。

株式会社リコー コーポレート統括本部 コーポレートコミュニケーションセンター 戦略・統括室 シニアスペシャリスト Webmaster 伊藤 恵美子氏

株式会社リコー コーポレート統括本部 コーポレートコミュニケーションセンター 戦略・統括室 シニアスペシャリスト Webmaster 伊藤 恵美子氏

 守備範囲を広げる働き方

業務分担を決める際のポイントは次のとおり。

●得意・不得意分野を混在させる
 得意分野を伸ばせるような業務分担をしつつ、敢えて不得意な領域の仕事にも関わらせる。
●キャリアパスを考慮する
 本人の進みたい方向に近づけるような経験をさせる。
●属人的な仕事を作らない
 慣れている人と慣れていない人を組み合わせて担当させる。

さらに伊藤氏は、達成プロセスの評価にも言及し、「年2回の目標面談で成果達成度と達成プロセスを評価しています。達成度100%でもプロセスが望ましくないと評価は下がることもあります。」とチームで仕事をする上での独特の評価も紹介しました。最後に「ホントにその仕事・そのプロセスは必要なのかを1回考えてみる」と自らの信念を紹介。その上で、「あえて面倒な方法を選ぶ勇気も必要」と強調。それが、個の成長、チームの成長につながるからです。とセッションを締めくくりました。


Workshop “あなたの仕事の哲学は何ですか?

セッションの合間には、全員で自分の仕事の哲学について考えるワークショップも行われました。ファシリテーターを務めたロフトワークの柳川雄飛は、「Webマスターは案外孤独な仕事。他のWebマスターは何を考えているのか?スキルや課題を共有・共感し合う中で、自分のスキルアップにつなげるだけでなく、Webマスター同士がつながる良い機会になれば」と挨拶。

ロフトワーク プロデューサー 柳川 雄飛

ロフトワーク プロデューサー 柳川 雄飛

ワークでは、普段の仕事で抱える個人的な悩みや課題を発掘することから始め、同じような悩みや課題を抱える人とチームを組んで課題解決のアプローチを考えていきました。ワークの最後には、グループ内のディスカッションから見えてきた自分なりの仕事の哲学を1センテンスで表現。組織や業界を超えた他人のフィルターを通して、一人ひとりが改めて自分の仕事と向き合い、「Webマスターに必要な要素は○○である」の「○○」を発見したようです。

仕事の哲学を見つけるワークショップ

仕事の哲学を見つけるワークショップ


Session3 メソッド “自分が顧客だったら・・・を考え、最初のドミノになろう

「金曜午後。このあと直帰ですよね?もう少しです!」と会場の笑いを誘ったビッグローブ株式会社の瀬川友輔氏。ロフトワークと手がけたAndroidホームアプリ「WidgetHome」開発プロジェクトを担当したシニアディレクターの重松と「とにかく楽しかった」と振り返りつつ、「本当はものづくりが好き。人の役に立ちたい、フルコミットで仕事がしたいのに、なかなか全てに全力投球は難しい。あのときと何が違うのか?」と自問からセッションをスタート。

ビッグローブ株式会社 クラウド・スマートサービス事業部 VASビジネスグループ 主任 瀬川 友輔氏

ビッグローブ株式会社 クラウド・スマートサービス事業部 VASビジネスグループ 主任 瀬川 友輔氏

一番の違いは「自分が顧客ではないこと」。「自分が最初のドミノにならなければならない。みんなはこういうものが欲しいはず!ではなく、自分が心から使いたいプロダクトを真剣に考えることに時間をかけるべき。それをしたのがWidgetHomeだった」と瀬川氏。

目指したのは「納品」がゴールにならないことです。納得できるまでプロダクトについて考え、過剰なほどに妥協のないペーパープロトタイプやデザインブリーフィングが最高のパッションにつながっていったと言います。「顧客自身、何が欲しいかわからずに発注しているのだから、流行ではなく“自分が顧客だったら”の真理を追いかけること。間違ったら変えればいい。最初のドミノになる人が複数いれば、その時間も楽しい」。瀬川氏の言葉には実感が込められていました。

関連リンク
[事例] Androidホームアプリ「WidgetHome」制作


Sponsor Session CMS選定ポイントは、CMSの哲学と実運用のズレをなくすこと

株式会社のれんの八木康介氏は、「CMS導入企業の約65%が乗り換えを検討している。いかに自社運営に合わない製品を選んでいるかということ」と指摘。さらに、「各CMS製品には“想定している使い方”=各CMSの哲学がある。大事なのは機能の多さではない。哲学と実運用のズレをなくすこと」だとして、CMS選定の4つのポイントを自社の事例を交えながら解説しました。

株式会社のれん 技術推進部 NORENエバンジェリスト 八木 康介氏

株式会社のれん 技術推進部 NORENエバンジェリスト 八木 康介氏

●CMS選定のポイント

1)静的or動的
静的CMSで対応できるのか?本当に動的CMSが必要なのかを見極める。
2)管理対象
管理対象がコンテンツなのかファイルなのか、あるいは両方なのかを考える。
3)運用体制
主に、中央集約型、分散型、半自動化型、パートナー協力型の4つの運用パターンがあり、それぞれ必要な機能が違う。運用フローに合ったCMSなのかを見極める
4)Webマスター支援
CMSの哲学を理解するためには、より充実したサポートやコミュニティ、パートナーの質が重要な要素になる。

関連リンク
CMS のれん


Panel Discussion 仕事の価値を理解し、世の中に対して自分の居場所を作る

セミナーの最後は、個性あふれるお二人によるパネルディスカッション。ロフトワークの君塚美香をモデレーターに、Web担当者Forum編集長 安田英久氏とWeb Professional編集長 中野克平氏が、参加者の関心に応える形で持論を展開しました。その一部をご紹介します。

モデレーター ロフトワーク君塚美香(左)Web Professional 中野克平氏(中)Web担当者Forum編集長 安田 英久氏(右)

モデレーター ロフトワーク君塚美香(左)Web Professional 中野克平氏(中)Web担当者Forum編集長 安田 英久氏(右)

Q:人をどう育てている?

安田:「心」で育てる。細かい作業を教えるのではなく、自分は何のためにこの仕事をしているのか、この作業は全体の中でどんな意味を持つのか、世の中に対してどんな価値をもたらすのかをしっかり理解し、哲学を持って仕事に臨ませる。

中野:利益は息をするのと同じで、出して当たり前。利益のために仕事をするな!世の中に対して自分の居場所を作れ!と言っている。

Q:企画が通らない、予算がもらえない、Webが理解されない理由は?

安田:PVだUUだと言っても経営者は興味がない。相手がどんなタイプの人間かを把握し、その人間の願望やニーズを把握した上でコミュニケーションすることが大事。

中野:上司とコピー機は使いよう。何もやってくれないと嘆く前に、自分が使いこなしていないんだと思うべき。

Q:Webマスターにひとこと

安田:自分が何をして生活費を稼いでいるのかを、親、兄弟、子どもに説明できるか。自分の部署の給料がどこから生まれているのかを、部下に全部説明できるか。それができないなら、できるようにしましょう。そしてもう一つ。今日聞いた話は一年後には変わっている。だから仲間を作ること。たとえばこのWebmaster Campのようなイベントで出会った仲間との関係を大切にし、できれば、Web広告研究会や企業研究会、a2iなどの業界団体にも参加していくといいだろう。

中野:社内だけでなく社外にも仲間を作ったほうがいい。特に社外の仲間こそ大事。なぜなら仕事を持ってきてくれるから。業者としてではなく、仕事を一緒に提案できる人や会社と出会えると仕事が最高に楽しくなるし、社内外に味方がいればコワイものはない。

参加者からの問に答える形で積極的な議論が展開

参加者からの問に答える形で積極的な議論が展開

全てのプログラムを終え、最後はロフトワークの矢橋友宏がクロージングトークを展開。最近読んだという書籍『どうしてあの人はクリエイティブなのか』を紹介し、書籍の内容を引用しながら、「ひらめきは偶然ではない。天才と呼ばれる人も、想像以上に努力していたり、発想するために人一倍インプットしていたりする」と矢橋。

ロフトワーク 取締役 兼 CMO 矢橋 友宏

ロフトワーク 取締役 兼 CMO 矢橋 友宏

さらに「Webも同じ。徹底的にWebのことを考えにいくと、Webしか見えなくなってくる。一歩引いて視野を広げると、Webのあり方が見えてくる。本イベントのような機会を積極的に利用し、様々な知見から視野を広げて業務に活かしてほしい」と語り、締めくくりました。

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vol.1 「2015 WEB TRENDS」

キーワードは「インサイト」。 タッチポイントにおける顧客の感情の変化を考える!

オープニングで本イベントの企画者であるロフトワークの渡部は、「Webマスターは基本的にひとり。当社のWebマスターの仕事ぶりを一番近くで見ていて、本当に大変なポジションだと感じている。そこで、この企画を思いついた」と説明。目指したのは、キャンプファイヤーのようにリラックスした雰囲気の中で、悩みや課題を気軽にシェアできる空間です。そこから何が生まれるのかは、今後のシリーズ展開に要注目です。 

イベントを企画したマーケティングの渡部晋也

イベントを企画したマーケティングの渡部晋也

続くキーノートスピーチには、ロフトワークの諏訪光洋が登壇。諏訪は、2015年のWebを占うキーワードに「インサイト」を挙げ、先進的なWeb施策に取り組む架空の旅館を例に、こう説明します。

「Webマスターは、どこから来るか、何時に来るかなど、顧客について知り得る状況にある。大渋滞に疲れ果ててムッとして訪れる人がいても、そこまでコントロールできないと考えるのは間違い。さまざまな情報をもとに、すべてのタッチポイントにおける顧客の感情の変化を考えてみることができる。これが『インサイト』です。」

2015年のWebトレンドについて解説したロフトワーク 代表取締役社長 諏訪 光洋

2015年のWebトレンドについて解説したロフトワーク 代表取締役社長 諏訪 光洋

さらに、「インサイトを考えると、どんな改善が必要なのかが見えてくる。そこから、効果的な施策やアイデアを考え、実行に移すことで、結果として価値ある体験を生み出すことができる」と諏訪。ロフトワークでも、顧客のインサイトと向き合うケースは増えており、インサイトから次々と新しい価値が生まれようとしています。


クリエイティブ、エクスペリエンス、アーキテクチャからWebを考える

ここからは、Webを考える上で関係の深い「クリエイティブ」「エクスペリエンス」「アーキテクチャ」の3つの視点で、トークセッションを展開しました。

Talk #1 Web×クリエイティブ

FabCafeの共同創業者でもあるトリプルセブン・インタラクティブの福田敏也氏は、クリエイティブな視点でWeb戦略や設計に関わる立場から、自身が問題意識を持つポイントを解説していきました。

トリプルセブン・インタラクティブ 代表取締役 福田 敏也

トリプルセブン・インタラクティブ 代表取締役 福田 敏也

「なんとなく面白い」時代の終焉

目的のある面白さを前提とした施策と投資が重要になる。

立ち返るべき場所は「コア価値」との向き合い

クリエイティブ施策を考えるとき、「コア価値」がサイトそのものにも現れる必要がある。

「コア価値」は何によってより効果的に伝わるのか

「コア価値」をさまざまなレイヤーに分解、展開していくプランニングが重要である。

スマホは「対応」する時代ではない

時代はスマホCENTER。スマホを通じて企業がどう見えるかが主文脈であるべき。

見据えるべきはポスト「スマホ」

この4、5年と同じ変化がこの先に起こり得る可能性を認識すべき。

これからさらに来る「激変」に対応しやすい体質へ

どんな変化が訪れても動きやすい体質に改善しておく。

次の時代の「良きクリエイター」とは?

メディアやデバイス変化を捉えて、最適なクリエイティブのあり方を考える必要がある。

クリエイターの心を揺さぶるクリエイティブ!

多様化する時代を迎えればなおさら「振り向かせる力」としてのクリエイティブの意味は大きくなる。ユニークな伝わりを企業ごとに考えることが重要になる。

Talk #2 Web×エクスペリエンス

ロフトワーク アキ カワナ

ロフトワーク アキ カワナ

デザインコンサルティングファーム「frog design」からロフトワークに仲間入りしたカワナアキは、「悪いUXデザインはビジネスにも悪影響を及ぼす」と指摘。frogでの事例を交えながら、UXを考える際の7つのポイントを事例を交えて次のように整理しました。

 

  • 1.UXは一貫していなければならない

  • 2.悪いUXは他を有利にする

  • 3.良いUXはビジネスインパクトを与える

  • 4.カスタマージャーニーを考える

  • 5.Webはタッチポイントの一つ

  • 6.エコシステムを考える

  • 7.インターフェイスがブランドである

Talk #3 Web×アーキテクチャ

最後に、Webデザインや設計のトレンドに斬り込んだロフトワーク烏丸の入谷聡は、「フラットデザイン、パララックス、多段グリッドなどの効果は、クリエイターが“ふつう”に引き出しとして持つようになった。もはやリニューアルで実現するレベルではない。これらをうまく使いつつ、コンテンツで勝負するしかない」と強調。この点を踏まえた上で「WireframeSketcher」「inVision」など、情報構造の整理に役立つツールを紹介し、そのメリットと要点を次のように総括しました。

 

  • 描いて可視化する習慣を身につける

  • 描く作業を最大限効率化する

  • 絵を動かしながら議論する

  • ユーザー視点で作業する

ロフトワーク クリエイティブディレクター 入谷 聡

ロフトワーク クリエイティブディレクター 入谷 聡


参加者全員とディスカッションをつなぐ初の試みも

セッションの合間には、全員参加型のピッチトークが行われました。アメリカ発祥のワークショップ手法「Fish bowl」を使って、「今年、やってみたいWeb施策」をテーマにディスカッションをスタート。檀上に上がった3人がそれぞれに自分の考えを述べ、話が終わったら、話に反応した人や質問をした人にバトンを渡して席を立つ。これを繰り返すことで、会場にいる参加者全員とディスカッションをつないでいくやり方です。

report06

最初は戸惑いながらバトンを渡し渡されていた参加者も、さまざまな課題を抱えるWeb施策がテーマとあって徐々にヒートアップ。ある参加者の質問を皮きりに、話題はWeb施策における動画の活用に集中。入れ替わり立ち替わりさまざまな意見が飛び出し、30分では足りないほどでした。

report07

劇的なインバウンド増加を生み出したWebサイト設計とは

唯一の事例セッションでは、オムロンフィールドエンジニアリングの越智大三氏とロフトワークの実本慶子が、Webリニューアルの成果を紹介。PVは2倍以上、問い合わせ件数は月平均0.1件から24件へ、売上高は約100倍という劇的なインバウンド増を実現できた理由は、Webサイトの設計にあります。そのポイントを3つに絞って解説しました。

ロフトワーク クリエイティブディレクター 実本とオムロンフィールドエンジニアリングの越智氏

ロフトワーク クリエイティブディレクター 実本とオムロンフィールドエンジニアリングの越智氏

1.シナリオの設計
企業側がユーザーに期待する動きを設定。サイトの目的やゴールに直結する「ベースシナリオ」と、それ以外のサブ的な導線として、クロスセル・アップセルを考慮した「派生シナリオ」を作成。

2.設計段階でのチューニング
入谷のセッションでも紹介された「WireframeSketcher」「inVision」を使ってWebサイトのプロトタイプを作成。実際に見て、触って、その場でフィードバックをもらいながら進めることで、スムーズな決定、早めの軌道修正ができた。

3.デザインの社内コンセンサス
さまざまなテイストのサイトデザインを10個用意し、各テイストに対して5つの質問に○×形式で答えるアンケートを実施。結果を点数化し、点数の高いものがイメージに近いとして、デザインテイストを決定。少々乱暴なやり方に見えるが、Webへの関心が薄い方にも納得してもらいやすい。


Webマスターが会社の未来を変える?!

日立システムズ 鹿島氏(左)良品計画 奥谷氏(中)花王 本間氏(右)の3名を招待してのパネルディスカッション

日立システムズ 鹿島氏(左)良品計画 奥谷氏(中)花王 本間氏(右)の3名を招待してのパネルディスカッション

前半は、技術の進歩が著しく、ひと昔前とはまったく異なる事情がある中で、Webの機能やマーケティングの役割がさらに重要性を増しているという認識で一致。後半は、鹿島氏の「これからのWebは動画ファーストになる」との発言をきっかけに、動画コンテンツの可能性が議論され、さらに、Webマスターが会社の未来を変え得る存在だという話にまで発展しました。

モデレーターの最後の質問、「2015年、Webマスターはどうしたらいい?」への3人の答えをご紹介します。

鹿島氏「Webマスターは会社の中で特異なことをやれる貴重な存在。Webだけを見ていてはダメ。提案力や商品力の強化、品質の向上にまで関われるはず。」

奥谷氏「広報的視点からいかに広告するかにチャレンジしてほしい。」

本間氏「今年やりたいことを考えるには、5年10年後にWebを使って会社や組織がどうなっていたいかを考えること。中期ビジョンの作成を今年の仕事にしてほしい。」

全プログラムを終えて、「消費者は多次元の世界に生きている。今までのモデルどおりユーザーが動くとは限らない」と語るロフトワークの矢橋友宏。しかも、正解がない中で重要になるのが、みんなで共創しながら作るプロセスです。

クロージングトークを務めたロフトワーク 取締役 矢橋 友宏

クロージングトークを務めたロフトワーク 取締役 矢橋 友宏

矢橋は、「異なる組織の人が集まって情報を共有したり、ヒントを与えあったり、化学反応を起こしながら何かを創り出す活動や、プロトタイプを早い段階からオープンにする取り組みが注目されています」と説明。「Webmaster Camp」も、悩み苦しむWebマスター同士がつながることで、新しい価値を生み出していくのかもしれません。